研究内容

私たちの研究室では,微生物機能を利用して以下のような研究を行っています.
各テーマについては,他大学・研究機関や企業と共同・連携して研究を遂行しています.
その際には,生物化学工学・プロセス工学・微生物工学・遺伝子工学の考え方と,金原教授がかつて実際にPCB除去プラントの開発に携わった経験を活かし,基礎学問のみならず現実に応用可能な使える技術」の開発を目指しています.また,「プロセスの可視化」を目指した技術の開発も行っています.

微生物による環境浄化手法の開発

人類社会の発展ともに様々な環境汚染物質が放出されてきました.こうした汚染物質には,環境残留性が高く,低濃度でも毒性を発揮する上,広範囲に拡散した化合物も含まれます.こうした汚染物質を物理化学的な処理法のみで除去を図るには,コスト面から現実的でない場合が多いため,生物の多様な機能を利用したバイオレメディエーションが有効であると期待されています.私たちは,微生物の代謝能・適応能を利用した新規環境浄化手法の開発を目指しています.複数種の微生物を複合的に用いたり,また,微生物による処理だけでなく,物理化学的な処理法と組み合わせたりすることで,それぞれの長所を活かし,重油,ダイオキシン類(PCB等)等で汚染された環境の浄化法とその効果について研究しています.

 

ダイオキシン類とモデル汚染土壌

これまでの研究テーマ

平成24年度
複合微生物群集によるPCB油汚染物質・燃料油汚染土壌浄化手法の開発
複合微生物製剤によるA重油汚染アルカリ土壌浄化能の評価
平成25年度
複合微生物製剤を用いた効果的バイオレメディエーション手法の開発
生石灰混合処理法と微生物処理法との組み合わせによるA重油汚染土壌の浄化手法の開発
油分解菌の複合接種による低温環境下におけるバイオレメディエーション手法の開発
平成26年度
油分解菌Rhodococcus erythropolisの低温環境下における土壌汚染除去能の評価

複合微生物系における可動性遺伝因子の挙動解析

微生物は,土壌・河川・湖沼,海洋はもちろん,深海の熱水噴出孔や,南極の氷の下といった地球上のあらゆる場所に存在するといえます.これは微生物の進化・適応能力が極めて速いためと考えられています.こうした微生物の急速な進化・適応能の一端を担うのが,可動性遺伝因子とよばれる「動く」遺伝子です.可動性遺伝因子には,異なる微生物細胞間を移動可能なプラスミドや,遺伝因子上の異なる場所へと移動可能なトランスポゾンなどが知られています.こうした可動性遺伝因子は,生物の設計図である遺伝情報を大幅に変化させることができます.私たちは,プラスミドやトランスポゾンを探索するとともに,様々な微生物が複合的に生息する環境で,これらの遺伝因子がどのように「動く」のか調べています.また,こうした動態解析は,例えばプラスミド伝播の人為的な促進(プラスミドオーグメンテーション)の実現や,人為的に高い能力を付した組換え微生物の工学利用において,その拡散に伴うリスク評価にもつながります.これらの情報を蓄積し,シミュレーションによる各遺伝因子の動態予測を目指しています.またこうした遺伝因子は,私たちがまだ培養することのできない微生物にも存在しています.そこで,培養を介さない手法で遺伝因子を探索し,それらの遺伝因子を利用した未知の微生物にアプローチする手法についても開発を目指しています.


プラスミドが接合伝達した細菌を緑色蛍光で検出した写真

これまでの研究テーマ
平成24年度
ダイオキシン類分解菌の探索とモデル環境における分解プラスミドの挙動解析
ダイオキシン汚染サイト浄化システムの開発に向けた環境細菌に対する分解プラスミド接合伝達の解析
平成25年度
可動性遺伝因子を利用した微生物のゲノムエンジニアリング手法の開発
ダイオキシン分解菌の探索と分解プラスミドによる新規浄化システムの開発
撹拌槽内における機能遺伝子伝播のモデル化
平成26年度
接合伝達性プラスミドの異なる環境下における動態解析
プラスミドの工学的利用に向けた宿主域の網羅的解析


低炭素社会の実現に向けた未利用バイオマスの利用法・炭酸固定法の開発

微生物によるメタン発酵は,排水・廃棄物等の,負の価値物から,エネルギー源としてのメタンガス,つまり正の価値物を生産することができるため,持続可能な社会づくりを目指すグリーンバイオテクノロジーとして注目されています.私たちは,この技術を様々な場面で利用し,社会に貢献できるシステムの構築を目指しています.
メタン発酵を安定して行うために解決するべき問題として,アンモニアによる阻害が知られています.これは,窒素分を多く含む排水・廃棄物を用いた場合に特にアンモニアが発生しやすいために生じる問題で,メタン生成が困難になる現象ですが,その阻害機構についてはよくわかっていません,私たちはアンモニアによるメタン発酵の阻害機構の解明と,その阻害を緩和する手法の探索を目指して研究しています.その際,工学部という「ものづくり」の学部の強みを活かし,発酵槽の設計・構築まで自分たちで行っています.
また,東日本大震災で生じた大量の放射線汚染されたバイオマスを微生物の機能を利用して減容化するプロジェクトにも寄与するべくメタン発酵の研究を行っています.
また,多様な微生物の能力を利用して,効率的な炭酸固定法の開発も行っています.


左:設計・構築した連続式メタン発酵装置
右:メタン発酵の材料となるスラリー状の木質バイオマス

環境中からの新奇微生物/接合伝達性プラスミドの探索

私たちの大学のすぐそばに,浜名湖につながる汽水湖,佐鳴湖があります.本湖は,化学的酸素要求量(COD)の値が全国的にも高いという不名誉な特徴があります.私たちは,この湖には,通常の微生物よりもさらに小さく,またこれまで培養されたことのない新たな微生物が複数種生息することを見出してきました.現在は,新たな遺伝子資源の宝庫という点からも佐鳴湖に着目し,新たな接合伝達性プラスミドの探索を行っています.

これまでの研究テーマ
平成25年度
佐鳴湖で発見した新しい極微小細菌の分離と解析
平成26年度
佐鳴湖に生息する0.22 μmフィルターを通過可能な極微小微生物の地理的分布と系統分類
佐鳴湖に生息する新奇極小微生物の探索および解析

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です